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2024.04.21

コンタクトレンズ外せば眠たい目

千早都

2021年

月をクリックすると開きます。

12月

2021.12.31 カランカラン当たったみたい夢の中
2021.12.30 でこぼこのあるじゃがいもの力こぶ
2021.12.29 何もない日も飯を炊く飯を食う
2021.12.28 無為無策無理無茶振りも年の末
2021.12.27 かじかんだ手のピストルよ収めたまえ
2021.12.26 手をつなぐことあきらめて最後の葉
2021.12.25 聞き入れたり聞き流したりあっ雨だ
2021.12.24 日の力すとんと落ちて星の夜
2021.12.23 理由などバカバカしくて抜けた空
2021.12.22 不思議だね見えるの一つ目は二つ
2021.12.21 春を待つ球根植えて札立てて
2021.12.20 夢を盛るせっかくだからカゴいっぱい
2021.12.19 銀杏の葉根元に集めフォトスポット
2021.12.18 ちょびちょびと取り出す冬の衣かな
2021.12.17 中から高便座ヒーターありがたし
2021.12.16 稜線の黒く沈んで星月夜
2021.12.15 この野郎と思う時ほどメイクスマイル
2021.12.14 頬を打て風は気まぐれ夕まぐれ
2021.12.13 アマビエの今もお店の守り神
2021.12.12 ピリッとな使い倒したレジ袋
2021.12.11 お日さまのぬくもり抱いて冬の宵
2021.12.10 具を載せてやる気をのせて昼ラーメン
2021.12.09 人生にリハーサルなし鮟鱇鍋
2021.12.08 お小言は念仏となり冬日向
2021.12.07 結び目の小さなげんこつエイエイオー
2021.12.06 付箋紙のツンツンツツンおすすめ本
2021.12.05 「大丈夫」のポイント貯まる目に涙
2021.12.04 血脈は奥深くあり針遠し
2021.12.03 スケジュールだだっと塗り込む年の暮れ
2021.12.02 ぱっきんと大根折って日が暮れて
2021.12.01 一枚ずつ柄の異なる落ち葉かな

11月

2021.11.30 母雲に付いて離れて子雲行く
2021.11.29 天高しサックサクッと落ち葉踏み
2021.11.28 逃げ足の速い夕陽よ襟立てて
2021.11.27 口げんかしつつピンポン続けましょ
2021.11.26 ニアミスより大外れでいい宝くじ
2021.11.25 羽田行き飛行機ゴーッとゴーッとな
2021.11.24 はふはふと鍋から啜るうどん旨し
2021.11.23 水底に怒り閉じ込め「残念です」
2021.11.22 石投げて水面に映る月を割る
2021.11.21 マカロンがまんじゅうになる恋から愛
2021.11.20 空の色鉄の色あり淡水魚
2021.11.19 洋梨の熟れて大人のジュースかな
2021.11.18 ひょいひょいと塀超えて降る落ち葉かな
2021.11.17 ゆっさゆさ地球という名の船の上
2021.11.16 疼く星疼く心臓疼く大地
2021.11.15 突然にベビーカステラ食いたい夜
2021.11.14 濡れ落ち葉乾きカラカラ肩寄せる
2021.11.13 コロコロと光るどんぐり朝散歩
2021.11.12 三度目の正直なるか豆苗ひょろん
2021.11.11 秋深し言えども温し太る月
2021.11.10 流し台拾い忘れたガラスのかけら
2021.11.09 人生終盤フリーハンドで描く円
2021.11.08 言いかけて開いたままの唇乾く
2021.11.07 ええと、あのー、あれが出て来ぬ秋の暮れ
2021.11.06 日の過ぎた焼き海苔ちぎり煮る夕べ
2021.11.05 開け閉めするカーテン君は生きている
2021.11.04 コロナ禍の後の約束一つずつ
2021.11.03 Windows閉じて窓の外を見る
2021.11.02 真夜中に突如話し出すスピーカー
2021.11.01 発言は撤回しても残るキズ

10月

2021.10.31 地に下りて空を見上げる落ち葉かな
2021.10.30 うなだれた向日葵ぎゅっと一括り
2021.10.29 軽石の事の重さに沈む島
2021.10.28 上り坂上から見れば下り坂
2021.10.27 風鈴の音強くなる十月末
2021.10.26 赤インク垂らし広がるもみじかな
2021.10.25 秋風や声のかすれて飴一つ
2021.10.24 雨上がり土のにおいを踏みしめて
2021.10.23 「でも」「だって」「どうせ」をやめてゆるりいく
2021.10.22 月に暈今日は泣いてもいいのかな
2021.10.21 秋の暮れ賞味期限の切れかけて
2021.10.20 一人と一人くっついてもなお一人と一人
2021.10.19 生よりも軽く炙った愛ください
2021.10.18 止まろうか点滅してる青信号
2021.10.17 幼な子のマスクの口のニッコリと
2021.10.16 ごみネット器用につまむカラスかな
2021.10.15 雨上がり不要不急の草むしり
2021.10.14 桃と桃そっと触れ合い赤らめて
2021.10.13 玄関に色とりどりの傘生ける
2021.10.12 母よりは長く生きたし空高し
2021.10.11 揺れよりも音を感じる縦の地震
2021.10.10 集めても集めても落ちる桜の葉
2021.10.09 不具合のモグラ叩きの我が身かな
2021.10.08 ヘリの音揺れ収まって三十分
2021.10.07 消しゴムの甘き香りよ字は消えぬ
2021.10.06 はやわざの暖簾上げ下げ回復期
2021.10.05 大人という醜い衣羽織る秋
2021.10.04 「あなたが居るとよく眠れる」と母の言う
2021.10.03 あきらめのつくかつかぬか一周忌
2021.10.02 目も耳も老いて身につく鈍感力
2021.10.01 道草をライフに植える神無月

9月

2021.09.30 手の中のバッタむぎゅうと力あり
2021.09.29 水冷えてたるんだ顔をパシパシと
2021.09.28 寝静まりうーんと唸る冷蔵庫
2021.09.27 一合の米炊く我の三度の飯
2021.09.26 朝の陽のぐいと差し込む彼岸過ぎ
2021.09.25 もうやめた投げては拾う夢ひとつ
2021.09.24 新旧の墓を飛び交う赤とんぼ
2021.09.23 補助線を引けばスッキリ晴れた空
2021.09.22 ああ老眼かと思いきや目の濁り
2021.09.21 湯に浮かべ肩軽くなる乳房かな
2021.09.20 子供たち飛んで弾けてソーダ水
2021.09.19 鬼灯のブッと鳴らして帰りゃんせ
2021.09.18 来ないでと首をちょん切るヒガンバナ
2021.09.17 もう恋じゃないのか君の「面倒くさい」
2021.09.16 悲しみの音符の滑る秋の暮れ
2021.09.15 ぬくもりの恋しいたとえばあなたの手
2021.09.14 イカサマのサイコロ重し人生ゲーム
2021.09.13 米つぶかいや砂つぶか星光る
2021.09.12 一気吸いコード巻き込みボタン力
2021.09.11 手抜きじゃなく手間抜きでいこうルーティンワーク
2021.09.10 再会の冷めたコーヒーでも美味しい
2021.09.09 切りたいもの切れず手を切る秋の夜
2021.09.08 魂をもう一度込めバキューンとな
2021.09.07 ピーマンに種なしありと割って知る
2021.09.06 風鈴はうるさきものと隣人が
2021.09.05 「バカバカバカ」カバになったと子が笑う
2021.09.04 雨ゆるみここぞとばかり虫の声
2021.09.03 奥歯ぐっと噛みしめすぎて歯の痛む
2021.09.02 落ちてくる空の涙はぬるい感じ
2021.09.01 エアコンにお休み出して雨の音

8月

2021.08.31 アゲハチョウ逃げ去る夏をひきとめて
2021.08.30 試されることばかりなり2021
2021.08.29 絡み合うシオカラトンボ飛びながら
2021.08.28 共に過ごす時長ければ似る二人
2021.08.27 ロスタイムと思えば気楽わが命
2021.08.26 ネジを巻き巻き巻き過ぎてポキッとな
2021.08.25 割り箸のパかッと割れて蕎麦旨し
2021.08.24 下書きがずらりと並ぶそんな夏
2021.08.23 ポケットに拳を入れて六数え
2021.08.22 種こぼしスイカほおばる親も子も
2021.08.21 夢のあるホラでもひとつ晩夏かな
2021.08.20 びっしりと苔の石段躊躇して
2021.08.19 千学び千働きて千々に散る
2021.08.18 外された公衆電話台に鳩
2021.08.17 付けてみる我がペンネームさみしがり
2021.08.16 聖母でも娼婦でもなし風にチリン
2021.08.15 そういえば夏は終わりか雨ザンザ
2021.08.14 伸び切ったゴムひもびろーんそれも人生
2021.08.13 過去と未来今を境にギッタンバッコン
2021.08.12 二十三時五十九分日を跨ぐ
2021.08.11 隙のある音を並べて耳涼し
2021.08.10 袖なしの腕を差し出しチクッとな
2021.08.09 雨止みてここぞとばかり蝉時雨
2021.08.08 日が差せば今、ここ、震える露の玉
2021.08.07 この命二つとしてなし抱いて抱いて
2021.08.06 遠くは近い近くは遠いネットワーク
2021.08.05 取り合わせ生ハムメロンは遠慮して
2021.08.04 絡みつく相手探せぬ蔦の先
2021.08.03 大好きなソックスぽっかり踵空く
2021.08.02 ギラギラと日の差す前に草を刈り
2021.08.01 紫陽花の型をとどめて夏日差し

7月

2021.07.31 会いたいと書くのためらう暑中見舞い
2021.07.30 ねじ花のバランス取りてねじねじねじ
2021.07.29 昆虫のお腹ばかり見る外廊下 
2021.07.28 朝起きて真白に残る我の抜け殻
2021.07.27 「ごめんね」を繰り返す子の母の顔
2021.07.26 鐘の音ゆっくりしずむ夏の宵
2021.07.25 火の柱上げてぐるぐる描くZERO
2021.07.24 マスクして視界狭まる夏険し
2021.07.23 名付ければ存在感増す病かな
2021.07.22 あのイビキなくてさみしい夏の夜
2021.07.21 おめかししていそいそ出かけるワクチン接種
2021.07.20 一年半慣れを抜け出す一歩重し
2021.07.19 カラリ晴れ土の匂いも消えるかな
2021.07.18 桃缶の汁まで旨し夏の朝
2021.07.17 懸命に光る炊き立てご飯かな
2021.07.16 空抜けて道を切り裂く蝉の声
2021.07.15 とりあえずビールと言えず泡ください
2021.07.14 掲示板キラリと光る画鋲あり
2021.07.13 冷ややっこしょうがみょうがのコンビにて
2021.07.12 夏野菜少量パックのありがたや
2021.07.11 手に入れた頑固なかぼちゃギシギシと
2021.07.10 新聞の重たき匂い梅雨末期
2021.07.09 ツバメ飛ぶヒュッと風切るカタチして
2021.07.08 塩パンを噛み締めながら雨の朝
2021.07.07 パン生地を寝かせるようにサスペンド
2021.07.06 駆け込んでドアの甘噛みエレベーター
2021.07.05 もう受けた?予約はまだか?夏の陣
2021.07.04 物憂げな顔を隠せり虹の傘
2021.07.03 でこぼこをゆうるく埋めて生きる町
2021.07.02 使い切ったペーパーの芯「ありがとう」
2021.07.01 雷鳴をキミに届ける電話越し

6月

2021.06.30 降り始め紫陽花みたく開く傘
2021.06.29 この空を雑に区切ってる高層ビル
2021.06.28 わけありに親しみ覚ゆおせんべい
2021.06.27 カチカチと人を数える無表情
2021.06.26 おつとめ品ちょっぴりやさしい心地して
2021.06.25 こんばんは月がニヤリと笑ってる
2021.06.24 時刻表余白は人の隙間かな
2021.06.23 あなたには見つけてほしいかくれんぼ
2021.06.22 勝つのでなし負けるでもなしつなぐ命
2021.06.21 紫陽花の出番終わればチョキチョキと
2021.06.20 どくだみのスペードの葉と白十字
2021.06.19 上なら下下なら上に砂時計
2021.06.18 設問が股間に見えた夏の酔い
2021.06.17 二十度が三十度になる船漕ぐ人
2021.06.16 紅薔薇の枯れていくのもひと仕事
2021.06.15 テンポよく進むときほど穴があり
2021.06.14 巻き戻しできぬ時間の川下り
2021.06.13 面白い夢の続きて朝寝坊
2021.06.12 後回し後はあるのか日の暮れて
2021.06.11 近眼の目にもハッキリ都会の星
2021.06.10 カステラのざらめジャリッと良き食感
2021.06.09 腕まくりしたまんま干す君のシャツ
2021.06.08 朽ちるとも果てる時まで人でいたい
2021.06.07 紫陽花や話したきことてんこ盛り
2021.06.06 解体劇芯もいけるとパイナップル
2021.06.05 グリーンピースああシュウマイのへそ曲がり
2021.06.04 知りたいな「またね」の後のひと言を
2021.06.03 逃げたいなパコッと開いた空の穴
2021.06.02 生きている者を摘むなと薔薇の棘
2021.06.01 塗り潰すこの青空も真っ黒け

5月

2021.05.31 ひと束の手紙をしまうホコリ残る
2021.05.30 人生の終わりに一本五寸釘
2021.05.29 ワッと咲きワッと散るバラバラバラと
2021.05.28 雨上がりちゅんちゅんカアカア叫び合い
2021.05.27 赤信号ぐっと我慢の大人たち
2021.05.26 消毒液また補充して開ける店
2021.05.25 今朝は来ない来ない来ないと待つ新聞
2021.05.24 おっとっと命の裾を踏んづけて
2021.05.23 連なりて猫と私の大あくび
2021.05.22 流されそうで流れぬ青き柳かな
2021.05.21 シャボン玉屋根まで飛べずパチンパチン
2021.05.20 誰を待つでもなしブランコ揺れている
2021.05.19 しけた空魚の骨がへばりつく
2021.05.18 三つ折りをささと畳める元事務員
2021.05.17 半分こ親指で割る豆大福
2021.05.16 抱きしめる理由はラブとヘルスチェック
2021.05.15 椅子の背にもたれて五分目をつむる
2021.05.14 食べちゃイヤポロッと落ちる甘ラッキョウ
2021.05.13 解体し更地に集うケシの花
2021.05.12 朝ドラの降水確率高いなぁ
2021.05.11 プレゼンのフォント揃える蜂ぶんぶん
2021.05.10 花の朝風のほころび風が縫う
2021.05.09 四捨五入四のあなたを切れぬ春
2021.05.08 右左イヤよイヤよの扇風機
2021.05.07 でこぼこのジャガイモに見る力こぶ
2021.05.06 囲いから描くスケッチ君の世界
2021.05.05 首根っこつかまえて出す扇風機
2021.05.04 ワクチンを待つ春なのか夏なのか
2021.05.03 頼られることありがたし春列車
2021.05.02 近う寄れ関所となった検温計
2021.05.01 春陽差す声のキレイな鳥一羽

4月

2021.04.30 手も足もはみ出し生きる桜かな
2021.04.29 咲けば散るゆえ友達のままでいて
2021.04.28 お静かに!カエルの口に戸は立たぬ
2021.04.27 小さな目口に残りてホタルイカ
2021.04.26 タンポポを吹くのも難儀マスク越し
2021.04.25 ゆっくりと出して引っ込む亀の顔
2021.04.24 まな板のキズをゴシゴシ春の鬱
2021.04.23 帯巻いた札が立ったと春の夢
2021.04.22 それも嘘これも嘘ねと花の舞う
2021.04.21 肩凝るほど揺れて揺らして大乳房
2021.04.20 映り込む空のぷよぷよシャボン玉
2021.04.19 千の花万の花びら散りにけり
2021.04.18 行く電車見れば手を振る今もなお
2021.04.17 ゴミ袋にたんまり花の欠片たち
2021.04.16 花鞠に遊びて散らす風・風・風
2021.04.15 白魚の目がじっと見る我を見る
2021.04.14 親離れ八重の花鞠着地せり
2021.04.13 潰されて転がることも無き空き缶
2021.04.12 駆け抜ける真白き馬に一票を
2021.04.11 時に花まるごと落ちて鞠となり
2021.04.10 入り口にマスク自販機ワンコイン
2021.04.09 引き寄せた四月のカードはジョーカーか
2021.04.08 ダブルパンチから起き上がるバースデー
2021.04.07 春の雨少しにじんだ信号待ち
2021.04.06 熱血より冷血好む検温計
2021.04.05 春の雨少しにじんだ信号待ち
2021.04.04 片手落ち連れの手袋寂しかろう
2021.04.03 流し台キラリと光るウロコかな
2021.04.02 向き合うから隣り合うへと変わる愛
2021.04.01 捨てられぬもの多すぎて四月立つ

3月

2021.03.31 冬過ぎて疼く身体を騙し騙し
2021.03.30 緊急も長く続けば常となり
2021.03.29 その肌を撫でるか打つか春の風
2021.03.28 長居する場所なく帰る我が家かな
2021.03.27 集合写真だけは素顔でパッチリと
2021.03.26 ゴタゴタをはらい清める炎かな
2021.03.25 棘のない薔薇のようです君のこと
2021.03.24 カメラより人の目のあり田舎町
2021.03.23 丸くなる春はいっそう丸くなる
2021.03.22 追いかけて追いかけられてつがいかな
2021.03.21 赤白のあいだで揺れる花開く
2021.03.20 黄色い花黄色い帽子黄色い声
2021.03.19 左利き我のハサミは五割増し
2021.03.18 腕を組み足を組んでは組み直す
2021.03.17 子は子なり母は母なり老いてなお
2021.03.16 花一輪咲くのもうれし今年の春
2021.03.15 黄緑の声するキャベツシャキシャキと
2021.03.14 自分だけは裏切るなかれ春嵐
2021.03.13 ヒヨドリのでんぐり返って蜜を吸う
2021.03.12 ブランコに並んで座る共に漕ぐ
2021.03.11 安物ほど長持ちしてる食器かな
2021.03.10 たえきれずひと皮脱いでハクモクレン
2021.03.09 レターセット選ぶときからドキドキだ
2021.03.08 ふうと呼吸マスクを外す幸せよ
2021.03.07 水仙のぷっぷらぷーっと口開く
2021.03.06 骨の中見つける仏一つ二つ
2021.03.05 食用の菜の花束で売られけり
2021.03.04 カチコチの土ゆるませる春の雨
2021.03.03 ちょっと待てそのポイ捨てが火事になる
2021.03.02 魚焼くにおい漂う弥生かな
2021.03.01 花つつき首をかしげるメジロかな

2月

2021.02.28 紅梅の色も香りも人一倍
2021.02.27 ばちんばちん重き音する相撲部屋
2021.02.26 きみのことふと思い出すフェルメール
2021.02.25 季の変わり三歩進んで二歩下がる
2021.02.24 ツンとした蕾ゆるめる温みかな
2021.02.23 ゆるふわな時間もステキ春陽射し
2021.02.22 一斉に鳩舞い上がる冬陽かな
2021.02.21 乱反射磨いてくれと窓ガラス
2021.02.20 空寒し両手にずしりゴミ袋
2021.02.19 コイン貯金両替すれば赤字なり
2021.02.18 重みなき電子マネーにチャリンチャリン
2021.02.17 明日まで君を好きなら好きと言おう
2021.02.16 春の夜の夢散らかりて肩重し
2021.02.15 辛いこと明るく言えばネタになる
2021.02.14 みやこにてひがしのゆれをもじでしる
2021.02.13 日々生きるだけでエライとほめてみる
2021.02.12 しびれありぐらつきもあり歳重ね
2021.02.11 ひっかかりなき水くぐる朝の喉
2021.02.10 思い出のカラカラになる古日記
2021.02.09 愚痴ならばゆるりと流す家ごもり
2021.02.08 ブロッコリーひとつひとつが森を成し
2021.02.07 見えねどもマスクの下に紅をひく
2021.02.06 幸せがにじむ集合写真かな
2021.02.05 半額セールそれでも売れぬ猫の顔
2021.02.04 年中の季語になるのかマスクさま
2021.02.03 ともかくも鬼追いやりて春は来ぬ
2021.02.02 高く低く波打つ音の風荒らし
2021.02.01 一日の終わりはいつも「ありがとう」

1月

2021.01.31 冬だからコロナだからと空スッキリ
2021.01.30 ジャンプするために屈んでタメつくる
2021.01.29 足形なら踏んで待とうかレジの列
2021.01.28 飛び乗った電車は今日も逆方向
2021.01.27 白も黒もグレーもマスク無言なり
2021.01.26 オルゴール最後の音はラでありたい
2021.01.25 ふっと嗅ぐ獣の匂い君が居た
2021.01.24 カッコ仮取れることなくもう一年
2021.01.23 電池切れ息も絶え絶え無線マウス
2021.01.22 後ろ髪ひかれるほどの髪ありや
2021.01.21 年明けて我らマスクの二年生
2021.01.20 宅配の声高らかに息白く
2021.01.19 靴紐を結び直せば紐笑い
2021.01.18 枯れすすきゆうらゆうらと風送る
2021.01.17 寒ゆるみ声のはじける外遊び
2021.01.16 なぞってる君のくせ字がうれしくて
2021.01.15 異論あり一拍空けて口開く
2021.01.14 煮えたかな?パカパカ蓋の笑う鍋
2021.01.13 ため息で曇った鏡しかと拭く
2021.01.12 正座して仏に向かう夜寒かな
2021.01.11 空っぽのまた一つ増え二つ増え
2021.01.10 開けた途端閉めろと言うはせつないね
2021.01.09 ぬくもりが引力となる君との距離
2021.01.08 グーするの嫌う右手の中の指
2021.01.07 雪かぶり赤い埴輪のやさしい目
2021.01.06 青信号それでも左右見て渡ろう
2021.01.05 一段落ネットを閉じて蜜柑むく
2021.01.04 残り物どんと集めて福袋
2021.01.03 日の差せばカラスこぞってテイクオフ
2021.01.02 幸せの灯りぽつぽつ春始む
2021.01.01  次の世へ寝た子も起こす初日の出